2020年04月01日
人類絶滅の危機
~SDGsの意味と意義~
4月に入りました。フレッシュな社員がオフィスや街に溢れる季節ですが、今年の新入社員や大学の新入生は入社式や入学式が中止になったり、縮小やデジタル遠隔開催のように形態を変えたりで通常と違って少し可哀そうですね。でも後々にはそれが却って忘れ得ぬ思い出、人生の歴史として焼き付くのかもしれません。当社ではこれからのIT人材不足に対応するために例年から倍増の新入社員をこの1日に迎えます。令和時代を担う新たな世代が当社を入口に社会人となり、足元のショックなど吹き飛ばして来るべき少子高齢化社会の課題をITサービスで解決してくれることを期待してやみません。
それにしてもこの1ヶ月で新コロナショックは中国武漢のLocal問題から全世界を巻き込んだパンデミックに拡散してしまいました。本稿の起草時点(3月25日)でも収束の見通しは全く立たず、各国の対応も様々であり、日本でも自治体によって対応が異なっています。東京オリンピックは1年後の延期が決まりました。安倍首相のいう「完全な形での開催」にこだわるとするとやむを得ないと思います。一人の日本国民としては、延期でもどんな形でも良いので何としても日本で実施してもらいたいと願っていましたので中止でなくて何よりでした。
そのような中で安倍首相の3月17日のG7首脳テレビ会議でのメッセージに「わが国だけの孤独な戦いではない。世界全体がいま共通の敵に立ち向かっている。人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証しとして、完全な形で東京オリンピックを実現することにG7の支持を得た」というくだりがありました。この中の人類が打ち勝つ、とか世界共通の敵という言葉はオリンピックの歴史的には初めてのものではないでしょうか。そもそものオリンピックの主旨は世界平和であり、戦争を止めたり休めたりしてスポーツで競おうというものです。それが今回初めて戦争ではなく、人類が人類以外を対象とした敵に対して打ち勝つ象徴としてオリンピックを位置付ける、というのですから歴史に残るものになるでしょう。
今回の新型コロナが何故これほど世界中を不安に陥れているのかというと、実態が見えない(不十分な検査、感染ルートが把握できない、決定的なワクチン、治療薬が存在しない、自分に危害が及ぶ可能性etc)事に尽きるでしょう。お化けが怖いのと同じですね。感染症について今回を機に少し調べたのですが、紀元前から発生していた様です。その正体が分からなかった時代、疫病は天から降ってくるものだったというのもうなずけます。特に今、感染症の恐怖が広がっていると感じる人も多いかもしれませんが、人類と感染症は非常に長いつきあいがあります。歴史的な出来事として記録されているだけでも、14世紀に流行したペスト、15世紀には梅毒、17~18世紀にかけて天然痘、近代でも結核やコレラなど様々な感染症と人類は闘い、その都度絶滅の危機を感じてきました。前述したようにオリンピックに影響を及ぼしたのは今回初めてですが、1国ではなく人類として感染症と戦ってきた歴史は永いのですね。そしてそれらを振り返ると、感染症で全人口の何分の一かが亡くなるといった絶滅の危機が起こるようなことは決してなく、ある程度の時間で対処法が解明されています。ある程度というのが今回はいつ迄なのか、それが見通せない現在がもどかしいのですが、ここは我慢のしどころですね。それを国民One Teamで遂行できるのが日本だと思います。オリンピックの1年後という時期もそれまでに対処法を確立させるという覚悟の表れと思います。全国民、全人類で問題の早期収束に向けて取り組みたいものです。
人類絶滅の危機にまで話題が広がったので、興味半分でその想定シナリオを探ってみたところ網羅的には以下のように広範囲のシナリオがあることがわかりました。
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既に発生、認知されている災害(現実的に起こり得るもの)
- 核戦争、パンデミック、気候変動、人口減少社会、地学的、天文学的災害
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地球環境の変動(遠い将来に起こりうるもの)
- 地球の大気変化、人口爆発、太陽の変化、地球の変化(約70億~80億年後、地球は赤色巨星となり巨大化していく太陽に飲み込まれ、消滅するとされている)
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科学的事故
- 人間の制御できない新技術が生まれてしまい、結果として人間を滅ぼすことになる
- 地球外生命の侵攻(SFの世界?)
- 人類を超える生物の登場(ポストヒューマン)
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人類の退化
- 人間は進化の極致に達しており、今後は適者生存の原理が通用しなくなる
これらのうち3以下はSF映画のシナリオのようですが、いずれにせよ人類がいつかはいずれかのシナリオで絶滅する事は間違いないでしょう。地球上で最強の生物であった恐竜も気候変動もしくは天文学的災害によって絶滅し、哺乳類が生き残った中で人類が最強となったのですが、一方でその人類の傲慢を警鐘するバベルの塔のような神話も昔からあります。神様の警鐘ではないかという視点で思えば、昨今の台風など異常気象や地震、原子力事故、戦争に加えて今回のパンデミックもそういう見えざる手によるものかもしれません。
地球の変化で地球上の生物すべてが絶滅する時が来るのは仕方ありませんが、1のシナリオの実現性を神の手に委ねるのではなく、人類が自らの手で回避するシナリオがSDGsではないでしょうか。地球環境、人類の延命に向け、発展途上国だけでなく先進国も含めたすべての国際連合加盟国が達成すべき目標として設定されたSDGsは、人類のこれまでの驕りを反省し謙虚に地球環境と寄り添って暮らしていこう、という意味があるように思えます。昨年7月の本コラムで渋沢栄一とSDGs ~論語と算盤、そして論語とDX~(※1)を起草しましたが、デジタル社会においてIT産業に関わる人々は利便性だけを追求するのではなく、社会や地球環境問題への貢献を心掛けるべきでしょう。ITに携わる企業として当社もその責任を持つべきとあらためて思います。
※1:令和の顔 渋沢栄一とSDGs ~論語と算盤、そして論語とDX~
https://kobelcosys-dev.demo.iqnet.co.jp/column/president/20190701/
2020年4月
ライター
元 代表取締役社長
田野 美雄
日本IBM製造事業部ディレクターなどを経て、2014年 執行役員 ERPソリューション本部長。
2015年3月より専務取締役。
2017年3月に代表取締役社長就任。
2021年3月退任。
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