2009年06月01日
ストレージの無駄使いを解消する技術
シン・プロビジョニング(Thin Provisioning)
シン・プロビジョニングとは
シン・プロビジョニング(Thin Provisioning)とは、アプリケーションやサーバーに割り当てられているストレージを、実際に割り当てられている物理ストレージのディスク容量よりも、多くの領域を使えるように見せる技術です。
従来、ストレージの容量設計は、データ量の増加を見込んで行っていたため、必要以上のストレージ容量を確保していました。また、近年、ビジネスの現場において、取り扱われるデータ量は増加しています。これに伴い、データ量に応じた的確なディスク容量の予測が難しくなり、確保する容量も増加傾向にあります。そのため、ストレージの容量設計は電力費用、設置面積などのコスト面から重要な課題となってきました。
この問題を解決するための技術がシン・プロビジョニングです。
シン・プロビジョニングの仕組み
ストレージは、サーバーが要求した容量を仮想ボリュームとして割り当てます。サーバーはその仮想ボリュームを論理ボリュームとして認識します。実際には、ストレージは仮想ボリュームに必要最低限の物理ディスクを初期容量(下図1.では5GB)として割り当てます。運用開始後、仮想ボリュームに対して書き込まれたデータ量に応じて動的にストレージ・プールから物理ディスクを割り当てます。下図1.の例では、サーバーが割り当てられている物理ディスク容量以上のデータを論理ボリュームに書き込もうとしたため、ストレージはストレージ・プールから10GB分の物理ディスクを追加で割り当てようとしている状態です。
このように、論理ボリュームの空き容量に割り当てる物理ディスクを減らせるため、ストレージの使用効率を上げることができます。例えば、サーバーに将来の利用を見越した大容量の論理ボリュームを作成した場合でも、運用初期のデータが少量であるときには物理ディスク容量を抑えることができます。
ストレージ・プールとは、物理ディスク容量を集約して集中管理できる領域のことです。
図1.シン・プロビジョニングの仕組み
シン・プロビジョニングのメリット
シン・プロビジョニングの技術を用いることによって、以下のようなメリットがあります。
-
ストレージの使用効率を上げることができる
… 最小限の物理ディスクを割り当てるだけで運用を開始できる -
新しい論理ディスクが必要になった際に、ストレージの追加購入をする必要がない
… 空き容量を効率的に使用し、新しい論理ディスクを作成することができる -
消費電力、冷却費用、設置面積などの運用コストを削減できる
… 装置や機器を集中して管理できる -
ストレージのキャパシティプランニングが容易になる
… 実際に割り当てられる物理ディスク容量を意識せずに、大容量の論理ディスクを作成できる
図2.シン・プロビジョニングはグリーンITでエコロジー
以上のような特徴を持つシン・プロビジョニングは、消費電力の削減効果から、グリーンITとして期待されており、今後さらに注目されていくでしょう。
2009年6月
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