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2025年03月01日

労働力不足を解決する AIエージェント

最近、どの会社においても「人がいない」という言葉を耳にします。
少子高齢化の進展などにより、日本では急激な労働力不足が起こっており、2030年頃にはますます深刻になる、と言われています。
残念ながら、これから日本で労働力人口が増える可能性は、まずないでしょう。
労働力不足を解決するには「シニア」、「外国人」、「DX」がキーになりますが、いずれも大きく発想を変える必要があります。今回はこの3つのキーのうち「DX」の解決策である「AIエージェント」について考察します。

労働力不足を解決する AIエージェント

AIエージェントとは

AIエージェントは、生成AIの技術を使って、あたかも人間のように仕事をこなすシステムです。
AIエージェントは人と対話したり、環境や状況を把握したりしながら、目標達成のために自律的にタスクを実行します。
簡単に言うと、AIがあなたの代わりにあなたの仕事を効率よくこなしてくれる「賢いアシスタント」のような存在です。
スマートフォンに搭載されている音声アシスタント機能は、音声で天気を調べたり、メモを取ったり、アラームをセットしたりするなど、私たちの生活をサポートしています。これもAIエージェントの一形態です。
近年では生成AIの発展により、AIエージェントはより柔軟なタスクを行うことが可能となり、業務プロセスの効率化や顧客体験の向上など幅広い領域で価値をもたらすことが期待されています。

AIエージェントの利用例

AIエージェントは、以下のような分野での利用例があります。

【ビジネスでの利用例】
 (1)  カスタマーサポート
顧客からの問い合わせに対し、チャットボット、音声、メールなどのメディアを通して、AIエージェントが自動的に回答します。例えば、「商品の返品方法が知りたい」といった質問に、AIが適切な情報を提供します。解決できない複雑な問いかけは、人間のオペレーターが引き継ぎます。
(2)  市場調査
消費者のトレンドや、市場の動向、競合他社の動向を効率的に把握します。AIエージェントにより、ニュース記事やソーシャルメディアのデータ収集や解析を自動化することで、市場調査の効率化を図ったり、経営陣に有用なインサイトを提供したりすることができます。

【製造業での応用例】
(1) 予防保全
設備や機器のメンテナンスを自動化します。
例えば、機械の動作音や温度、振動などのセンサーデータをAIエージェントがリアルタイムで解析し、問題が発生する前に兆候を事前に察知します。従来は循環点検として、設備を網羅的に順番に点検していましたが、AIを活用することで、計画外の設備故障を防ぐことが可能となります。メンテナンスのための生産ラインのダウンタイムを最小限に抑え稼働率を向上させることができます。
(2)  生産計画の最適化
AIエージェントは、生産スケジュールを最適化するために需要予測や生産ラインの稼働状況を最適化します。過去のデータや市場動向を元に、どの製品をどのタイミングで生産すれば最も効率的かを予測します。これにより、過剰在庫を避け、需要に応じた生産が可能になります。
この技術が本格化するのはもう少し先になると思われますが、例えば、市場の需要予測データを基に、どの部品が最も需要が高いかを計算し、ラインの稼働順序を最適化する、などが挙げられます。必要な部品の生産を効率よく進めることで、余剰生産を減らしてコストを削減できます。
(3)  サプライチェーンの最適化
製造業では、部品や原材料の調達から製品の出荷まで、多くのプロセスが連携しています。AIエージェントがこれらのプロセスを最適化し、サプライチェーン全体の効率を向上させることが可能になります。例えば、供給元からの部品の納期や在庫の状況を分析し、遅延のリスクを予測します。また、AIが需要予測を行い、適切なタイミングで原材料を発注、生産することで、在庫切れや過剰在庫を防ぎます。在庫管理や発注の精度が向上し、コスト削減や納期の短縮が実現できます。

まとめ

AIエージェントの技術は急速に進化しており、今後多くの業界での適用が期待されています。
特に、製造業におけるAIエージェントの利用は、機械の保全、生産スケジュールの最適化など、さまざまな業務において効率化と精度向上の実現が期待されます。AIエージェントの導入により、労働力の削減やコスト削減だけでなく、製造プロセスのスピードや品質が大幅に向上し、競争力強化につながると考えられます。

コベルコシステムにおいても、製造業における労働力不足を前提に、これらの技術を活用した種々のソリューションを開発していきます。
(常務取締役 CTO CIO 林 高弘)

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