2009年08月01日
現実世界の事象をリアルタイムに分析するストリーム・コンピューティング
ストリーム・コンピューティングとは
近年、多くのセンサーやデバイス(※)が世界中で利用されています。さらに、これら膨大な数のセンサーやデバイスがインターネットに接続され、テキストや音声や画像・動画など様々な形式で絶え間なくデータを流し続けています。このようなデータをストリーム・データと呼び、ストリーム・データをリアルタイムに分析、活用することをストリーム・コンピューティングと言います。ストリーム・コンピューティングの実現により、現実世界に起こる多様な事象や状況の変化といった”イベント”をリアルタイムに認識し、その事象に対して迅速にアクションを起こしたり、適切なサービスを提供したりすることが可能になることから、ビジネスでの利用価値の観点でも大きく期待されています。
※ネットワークに接続されているセンサーやデバイスの例:
- RFID(Radio Frequency IDentification)
- ICカード
- GPS(Global Positioning System)
- 監視カメラ
ストリーム・コンピューティングの特徴
従来のデータ処理とストリーム・コンピューティングとの考え方との違いを以下の表に示します。データ・マインニングなどの従来型のデータ処理技術では、構造化され蓄積された過去のデータを中心に分析します。一方、ストリーム・コンピューティングでは、蓄積されたデータではなく、インターネット上に今まさに流れるデータを、リアルタイムに分析します。
従来のデータ処理の特徴 |
・データベースなどに蓄積されたデータを処理 ・体系化(構造化)されたデータを処理 ・過去にさかのぼったデータによる分析・処理 |
---|---|
ストリーム・コンピューティングの特徴 |
・リアルタイムに起こるイベントを分析・処理 ・マルチメディア(非構造)データも分析 |
続いて、ストリーム・コンピューティングの処理の概要について、以下の図に示します。
図. ストリーム・コンピューティングによる処理
センサーやデバイスから送信されるストリームデータに対して、まずは変換・フィルタリングを行うことで、イベントを抽出しやすく平準化します。その後、複合イベント処理(CEP:Complex Event Processing)の仕組みにより、意味のあるイベントメッセージを抽出します。そして抽出されたデータにより、サービスを利用・提供したり、適切な担当者に状況を報告したりするなど、リアルタイムにアクションを取ることが出来ます。
ストリーム・コンピューティングの応用
ストリーム・コンピューティングの応用分野としては、以下のような例があげられます。
- 監視カメラに映っている顧客行動をリアルタイムに分析して販売活動をサポートする
- 医療現場において患者の微妙な生体情報の変化を捉え、迅速に対応する
- 交通状況をリアルタイムに分析することにより渋滞緩和の対応を行う
ユビキタス時代において膨大なデータを処理する方法として、今後ストリーム・コンピューティングの適用分野は広がっていくと思われます。
参考:
ユビキタスコンピューティング:
https://kobelcosys-dev.demo.iqnet.co.jp/column/itwords/61/
2009年8月
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